拓郎
19の頃だったと思う。上京してビジネスマナーの新人研修打ち上げに備え付けられてあったカラオケは未だ、レーザーディスクでもなく「ろくなもんじゃねぇ」を歌いそびれた記憶の時代だ。長渕剛氏の自著伝ではギターを始めた当初、高校では「拓郎だ」と言っているのは自分一人であったと記されていたと思う。ほぼ一通りスコアを一旦復唱し終え、より原点に近いものをとアルバム「青春の詩」を手にして先ず、このボーカル。イメージは改めてであった。後に岡本おさみ氏も「あの歌い方、彼は自分の歌詞に持つそれをぶち壊してくれる」と、もちろん良い意味であるが語っていて、誰しも、そのような衝撃は受けるものだと思った。そして「ひらひら」当時のステージをテレビで「そのうちに君も狙われる」に入る前置の「あゝ、あー!」の「あー!」で、やられてしまった。それからは、創作するオリジナルに影響を受け過ぎて指摘されることも多々あり「拓郎より拓郎っぽく歌えばいいと思っている」と開き直って応えたりしていた。
私的にも最もと言えば「静」である。3年後、永山独身寮での同僚のEP盤からであった。即座に自分もこんなと駆り立てられていた。「制服」と同じ、コードA♭への展開、独特ではなかったか。一時のラストアルバムにも収録されていたようで、氏自身も思い入れがあったのかもしれない。コンテンツ「歌」では「故郷帰り」「Tへの手紙」等がそうである。
外見はジャケット「明日に向かって走れ」でGibson、「大いなる」で結婚に、今は「LIVE'73」のGジャンを意識、伸びた髪は肩での拓郎止めにサングラスにと心が揺れている。引退撤回、御大のニューアルバムが6.12に発売されるそうです。
2024.5.11
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